●4● JISSEN NEWS 2007.冬No.154


理事就任にあたって

千葉職業能力開発短期大学校

山見 豊

 2006年通算19回目の実践教育研究発表会(東北大会)の総会で理事を拝命しました。
 私にとっては、2年間のアフリカ生活での空白後の役員復帰であります。
 アフリカ・ウガンダでの出来事は、本大会でも発表しましたが、なかなか語りつくせないものがあります。
 国際技術協力の分野で、職業技術教育・訓練(Technical and Vocational Education and Training TVET)を強力に展開しているは、ドイツと日本だと考えます。
 かつて、私は20数年前南米ペルーに職業訓練専門家として赴任しましたが、その時、ドイツのチーム(GTZ)と出くわしましたが、今回も、ウガンダで職業訓練指導員養成プロジェクトを巡る協議の中で彼等と顔を会わせることとなりました。
 この協議の中で、おやっと思ったことが何点かあります。
 まず一つは、学校教育と職業訓練を日本のように分離する考えは彼らにはないことです。国際的にはTVETで統合されています。ウガンダも徒弟訓練法で労働省の下で実施していた体制から文部スポーツ省のBTVET局に移管していましました。
 次にドイツは、政策的支援に非常に関心をもってましが、ウガンダの職業訓練指導員養成についての役割分担として、日本は高度なレベルを、ドイツは基礎的なレベルを担当するとの話が成立したことです。
 これは、もちろん日本が実施してきた技術協力の技術レベルが客観的に見て高いと評価されたうえであると私は思います。
 さて、ドイツは、いわゆる資格、ライセンスを重視する国です。
 ドイツのデュアルシステムは、このライセンス取得と結びついていると言えます。
 ウガンダでは、UVQF(ウガンダ職業資格制度)の構築を目指して彼等は政策支援を展開中でした。
 これらの事により、国情も含め、ドイツ本国の職業教育をもっと本格的に知りたいと思いました。ドイツ(GTZ)の連中と、そのうち徹底的に討論してやろうと考えましたが、ついに成しえず帰国となったのは残念です。
 職業技術教育・訓練に対して、わが国と本質的に違うのは、ドイツでは、職業教育を受けることは国民の義務であると同時に、国が国民全員を一人前の職業人となるところまで責任をもつという共通認識があることでしょう。公費の教育が充実し、経済界も大いに貢献していると言われます。
 わが国の職業能力開発(職業訓練)は、これからどのような道を進むのでしょう。また、進ませるべきでしょうか。それを知っているのは、あるいは見えているのは教育訓練の現場にしかないと思います。 私は、何はさておき、すばらしい教育実践の展開、積み上げこそが歴史を開くに違いないと確信しています。今後ともよろしくお願いします。